18.家族信託のメリット・デメリット。どんな人が利用するべき?

社会福祉の現場で25年間、多くの方の「リアルな暮らしと人生の節目」に寄り添ってきた清水智子行政書士事務所が、近年テレビや終活雑誌で「画期的な認知症対策」として大きな注目を集めている「家族信託(かぞくしんたく)」について、そのメリット・デメリットと、どんな人が利用すべきかの判断基準をわかりやすく解説します。

「親の認知症で銀行口座や実家が凍結すると聞いたけれど、どう対策すればいい?」
「成年後見制度との違いや、うちの家族に向いているかを知りたい」

そんな疑問をお持ちの方へ、福祉の現場で約50件の成年後見人を務め、ご家族のリアルなお金の管理や生活の不安と向き合ってきたからこそ言える、「本当に失敗しないための家族信託の基礎知識」をお伝えします。


家族信託とは?基本の仕組み

家族信託を一言でいうと、「親が元気なうちに、信頼できる子どもに『財産の管理権』をバトンタッチしておく仕組み」です。

財産の所有権は親に残したまま、「管理して動かす権利」だけを子どもに託します。これにより、将来親の認知症が進行して判断能力が低下した後でも、子どもが自分の名前で「親の医療費や介護費用のために口座からお金をおろす」「老人ホームの入所資金を作るために実家を売却する」といった柔軟な管理ができるようになります。


家族信託の「4つの大きなメリット」

従来の「成年後見制度」や「遺言書」では難しかったことが、家族信託では可能になります。

メリット1:認知症になっても「実家の売却」や「口座の凍結」を防げる

最大のメリットです。成年後見制度の場合、親が認知症になった後に実家を売却するには家庭裁判所の非常に厳しい許可が必要で、原則として「本人が住むための家」の売却は簡単には認められません。家族信託であれば、あらかじめ契約で定めておくことで、子どもの判断だけでスムーズに実家を売却し、介護費用に充てることができます。

メリット2:毎年のランニングコスト(維持費)が原則「0円」

成年後見制度で弁護士や司法書士などの専門家が後見人に選ばれた場合、親が亡くなるまでの何年間、何十年間も、毎月2万〜6万円程度の報酬(維持費)が親の財産から引かれ続けることになります。
家族信託は、信頼できる家族(子どもなど)が身内で財産を管理するため、作成時に専門家への初期費用を支払った後は、毎月の維持費はかかりません。

メリット3:裁判所の監督を受けず、家族の手で柔軟に管理できる

成年後見制度では、一回お金を動かすのにも裁判所への報告や書類提出が必要となり、家族の自由な判断での支出(孫への入学祝い、実家のリフォームなど)は原則できなくなります。家族信託は、ご家族の間で決めたルールに沿って、裁判所を通さずスピーディーかつ柔軟に財産を活用できます。

メリット4:「遺言書」の代わりに、次の次の世代までの財産のゆくえを指定できる

遺言書では「自分の財産を妻に遺す」までは指定できますが、「妻が亡くなった後は長男へ」という次の次の世代(二次相続以降)の指定は法的にできません。家族信託の契約の中に組み込んでおくことで、「自分が亡くなったら妻へ、妻が亡くなったら長男へ引き継がせる」という長期的なデザインが可能になります。


家族信託の「3つのデメリットと注意点」

素晴らしい仕組みですが、決して万能ではありません。以下のデメリットを理解しておくことが大切です。

デリケートな注意点1:親の「認知症が進んだ後」では契約できない

家族信託は、親(委託者)と子ども(受託者)との間の高度な法律契約です。そのため、親御さんの認知症が進行し、契約の内容を正しく理解する能力(判断能力)が不十分とみなされた後では、絶対に始めることができません。「まだ元気だから大丈夫」という今こそが、唯一のチャンスです。

デリケートな注意点2:介護や病院の手続きをする権利(身上保護権)はない

家族信託は、あくまで「財産(お金や不動産)を管理するための仕組み」です。
万が一、親御様が入院する際の手続きや、老人ホームへ入所する際の「施設の契約手続き」などを代わりに法的に行う権利(身上保護:しんじょうほご)は含まれていません。これらをカバーするには、後述する「任意後見契約」などをセットで準備しておく必要があります。

デリケートな注意点3:他のきょうだいとの「不信感・揉め事」の引き金になることも

特定の長男だけに財産の管理権を渡してしまうため、他のきょうだいに内緒で進めると、「長男がお父さんのお金を勝手に使い込んでいるのではないか?」と、亡くなった後に激しい親族トラブルに発展するリスクがあります。始める際は、家族全員でオープンに話し合い、透明性を保つことが絶対条件です。


家族信託を「利用すべき人」の判断基準

以下のような条件に当てはまるご家庭は、家族信託のメリットを最大限に活かすことができます。

  • 親が将来老人ホームに入る際、「実家(空き家)を売却して介護費用を作りたい」と考えている
  • 親の財産の大部分が「実家(不動産)」や「定期預金」で、認知症による凍結リスクが高い
  • 成年後見制度のような毎月のランニングコストを抑え、身内だけで財産を管理したい
  • 年の離れた障がいのあるお子様がおり、自分が亡くなった後の長期的な財産管理を信頼できる親族に託したい

徳島での家族信託・認知症対策は、清水智子行政書士事務所へ

家族信託の設計は、単にお金をどう動かすかという法律の計算ではありません。その背景にある「親御様がこれからどこで、どんな医療や介護を受けて安心して生きていきたいか」というこれからの暮らしの安心(QOL:生活の質)の設計そのものです。

「うちの家族構成や財産だと、家族信託と遺言書、どちらが合っている?」
「実家の凍結を防ぎたいけれど、きょうだいで揉めないように進めたい」

そう思ったら、ぜひ一度ご相談ください。私は行政書士として、提携する司法書士と連携しながら、将来のトラブルを未然に防ぎ、実家の名義変更や売却が一発で通る確実な家族信託の契約書(公正証書)を作成します。

さらに、私は25年間、福祉の現場の最前線でケアマネジャー(主任介護支援専門員)や社会福祉士として、多くのシニア世代とそのご家族を支え、自身でも約50件の成年後見人を務めてきた人間です。家庭裁判所の家事調停委員としての経験も活かし、事務的に手続きを進めるだけでなく、ご家族それぞれの本音や介護の現実にトコトン寄り添います。

「堅苦しい先生」ではなく、「何でも話せる徳島のおばちゃん」として、あなたのご家族の未来の笑顔のために一緒に汗をかきます。どうぞ安心してお気軽にお頼りくださいね。

  • 初回相談無料(もやもやした不安をそのままお聞かせください)
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