42.Q:認知症になった後でも遺言書を書くことはできますか?

医療や介護の現場で25年間、多くの高齢者とそのご家族の「リアルな暮らしと人生の節目」に寄り添ってきた清水智子行政書士事務所が、終活や相続を考える際に非常に多くの方からいただく切実な疑問「認知症になった後でも遺言書を書くことはできるのか?」について、法律と福祉の両面からわかりやすく徹底解説します。

「親に少し物忘れが出てきてしまったけれど、もう遺言書は作れないの?」

「認知症の診断を受けたら、これまでの意思はすべて無効になってしまうのだろうか……」

大切なご家族の物忘れが進んでくると、きょうだい間での将来の遺産トラブルを防ぐためにも、「今のうちに遺言書を残してほしい」と焦る気持ちが生まれるのは極めて自然なことです。

福祉の現場でケアマネジャーや社会福祉士として多くの認知症当事者・ご家族と伴走し、行政書士として数々の遺言実務に携わってきたからこそ言える、「手遅れになる前の、認知症と遺言書作成のリアルな境界線」をお伝えします。

結論:認知症だからといって「一律で絶対に作れない」わけではない

まず、法律上の明確な結論からお伝えします。

医学的に「認知症」との診断を受けていたとしても、それだけで「一律に遺言書が絶対に書けなくなる(無効になる)」わけではありません。

遺言書を作成するその瞬間に、本人に「遺言能力(いごんのうりょく)」が備わっていると認められれば、認知症になってから作成した遺言書であっても法的に100%有効になります。

法律が求める「遺言能力」の正体とは?

遺言能力とは、一言でいうと「自分が今から書く遺言によって、誰にどの財産が引き継がれ、それがどのような結果をもたらすかを正しく理解し、判断できる能力」のことです。

認知症の症状は、ある日突然すべてが分からなくなるわけではなく、良い日と悪い日の波があったり、物忘れはひどくても自分の財産のゆくえについてはしっかりとしたこだわりを持っていたりする「グラデーション」のようなものです。そのため、本人の状態が以下の条件をクリアできているかが極めて重要な境界線になります。

認知症の状態で遺言書を作成する際の「3つの絶対条件」

もし物忘れが始まっている親御様に遺言書を書いてもらう場合、後から他の親族に「あの遺言書は、認知症の親を騙して無理やり書かせたものだ!」と裁判を起こされて泥沼の争い(争族)になるリスクが非常に高くなります。そのリスクを完全にシャットアウトするために、現場では以下の3つのステップを確実に踏みます。

条件1:医師による「遺言能力がある」という確実な診断書の取得

作成する直前に、認知症の主治医や精神科の専門医の診察を受け、「本日の段階において、遺言書の内容を理解し判断する能力(意思能力)を有していると認められる」という旨を明記した正式な診断書を書いてもらいます。これが後日のトラブルを防ぐ最強の盾になります。

条件2:身内で書く「自筆」ではなく、公証役場での「公正証書遺言」にする

本人が自宅で紙に書く「自筆証書遺言」は、認知症の疑いがある場合、後から無効を訴えられたらひとたびで崩壊します。

必ず、法律のプロである公証人が本人の意思を厳格に直接確認して作成する「公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)」を選んでください。公証人が「本人の意思能力に問題なし」と太鼓判を押して作ったという事実が、極めて高い証拠能力を持ちます。

条件3:作成当日の様子を「動画や面談記録」として証拠に残す

当事務所で実務を行う際は、公証人とのやり取りの様子や、親御様が自分の口で「長女の〇〇にこの家を譲りたい」とハキハキと答えている姿を動画で撮影し、詳細な面談記録とともに保管します。ここまで徹底して外堀を埋めておくことで、後から他の親族から不当なクレームをつけられる隙を100%無くします。

後悔しないための「遺言能力の仕分け」ロードマップ

「うちの親の今の状態で、まだ遺言書は間に合う?」と迷ったら、以下のステップに沿って冷静に状態を見極めていきましょう。

1.日常会話の「理解度」と「意思の安定性」の確認:ステップ1。

まずは親御様が「自分の今の預貯金や不動産の大体の全貌」を把握しているか、そして「誰に何を遺したいか」という意見が日によってコロコロ変わらず、一貫して安定しているかを家族で注意深く確認します。

2.専門の医師による「医学的な意思能力」のジャッジ:ステップ2。

かかりつけの病院の主治医に「遺言書を作りたいと考えているが、現在の医学的な判断能力のレベルはどうか」を相談し、公正証書作成に耐えうる状態かどうかの内諾と診断書の手配を進めます。

3.公証人との事前打ち合わせと条文の設計:ステップ3。

当事務所のような専門家が間に入り、親御様の本当の想い(QOLの尊重)を反映した遺言書の原案を作成。公証役場の公証人と事前に密な打ち合わせを行い、当日の意思確認がスムーズに進むよう完璧なお膳立てを行います。

4.厳格な証拠化のもとでの「公正証書遺言」の完成:ステップ4。

公証人、証人2名(当事務所スタッフ等)の立ち会いのもと、本人の口頭での意思確認を経て公正証書遺言をカッチリと作成。当日の動画証拠等も合わせて保管することで、将来にわたって絶対に揉めない「完璧な安心」を完成させます。

⚠️ すでに重度で意思疎通が難しい場合は「手遅れ」です

すでに認知症が末期まで進行しており、「自分の子どもの顔や名前が一致しない」「今日がいつだかわからない」「財産という概念自体が理解できない」という状態になってしまっている場合は、残念ながら遺言書を作成することは法律上100%不可能(手遅れ)となります。その場合は、遺言書ではなく、裁判所にパートナーを選んでもらう「法定後見」の手続きを進め、本人の財産を守る実務へと舵を切ることになります。

福祉と法律をワンストップで繋ぐ、清水智子行政書士事務所ならではの強み

認知症が進みつつある状況での遺言書作成は、単に法律の書類を綺麗に仕上げるだけの実務ではありません。その本質は、「親御様が大切にしてこられた人生の誇りや家族への想いを守ると同時に、これからの人生を最期まで自分らしく安心して豊かな暮らし(QOL)を送っていくための確実な生活設計」そのものです。

一般の一般の行政書士や弁護士は、法律の手続き(書類の作成)は得意ですが、「認知症の症状が今後どう進行していくか」「介護現場で本人の機嫌が良い時間帯や、意思を引き出すための細かなコミュニケーションのコツ」といった、福祉・医療現場のリアルな実態を知りません。

私は特定行政書士として確実な法務実務を行うと同時に、25年間、医療・介護・障害福祉の最前線で社会福祉士やケアマネジャー(主任介護支援専門員)として多くの認知症当事者とそのご家族の汗と涙に寄り添い、自身でも約50件の成年後見人を務めてきた人間です。介護事業所(指定居宅介護支援事業所ソーシャルサポート清水)も併設しているため、事務的に手続きを進める「士業の先生」としてではなく、医療・介護の現場のリアルな運営実態と本人の心身の波に100%即した、最もご家族が後から困らない現実的な生前対策をご提案できます。

「親の物忘れが始まっているけれど、今からでも作れる遺言書の相談に乗ってほしい」

「将来きょうだいで絶対に揉めないために、介護の苦労も反映した確実な遺言の残し方を知りたい」

そう思ったら、どうぞ手遅れになってしまう前に、まずは私にお話をお聞かせください。

「士業の堅苦しい先生」ではなく、「何でも話せる街の保健室の先生」、そして「頼れる徳島のおばちゃん」として、あなたとご家族の未来の笑顔と確実な安心のために、トコトン寄り添って一緒に汗をかきます。どうぞ安心してお気軽にお頼りくださいね。

  • 初回相談無料(まずは現状の親御様の様子を、そのまま安心してお聞かせください)
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