6.自筆証書遺言の法務局保管制度とは?費用と利用方法を解説

社会福祉の現場で25年間、多くのシニア世代とそのご家族の「リアルな暮らしと人生の節目」に寄り添ってきた清水智子行政書士事務所が、自分一人で書く遺言書の安全性を劇的に高める画期的な仕組み「自筆証書遺言書保管制度(法務局保管制度)」について、費用や具体的な利用方法をわかりやすく解説します。

「遺言書は自分で手書きしたいけれど、自宅に置いておくのは紛失や書き換えが心配……」

「公正証書遺言は安心だけど、費用をなるべく抑えたいな……」

そんな方にぴったりなのが、2020年から始まったこの法務局保管制度です。福祉の現場で約50件の成年後見人を務め、家族のリアルな財産トラブルや遺言書の紛失トラブルを見てきたからこそ言える、この制度のメリットと賢い活用のコツをお伝えします。

自筆証書遺言の「法務局保管制度」とは?

一言でいうと、「自分で手書きした遺言書(自筆証書遺言)を、国の機関である法務局が格安の料金で、亡くなるまでガッチリ安全に預かってくれる制度」です。

これまで、自分で書いた遺言書は自宅の引き出しや金庫に保管するのが一般的でしたが、「見つからない」「家族に破棄・改ざんされた」「法律の形式が間違っていて無効になった」というトラブルが非常に多くありました。この制度は、そうした手書き遺言のデメリットをすべて解消してくれます。

この制度を利用する「4つの大きなメリット」

  1. 法務局の職員が「外観(形式)のチェック」をしてくれる自筆証書遺言には「全文手書き」「日付・氏名の記載」「押印」といった厳格なルールがあります。法務局に預ける際、職員がこれらの形式を満たしているかその場で確認してくれるため、「せっかく書いたのに形式不備で無効になる」という最悪の事態を防げます(※内容の有効性を保証するものではありません)。
  2. 紛失・隠匿・改ざんのリスクがゼロに遺言書の原本は法務局で厳重に保管され、同時に画像データとしても記録されます。そのため、紛失や、特定の親族による書き換え・隠蔽の心配が完全に無くなります。
  3. 亡くなった後の「家庭裁判所の検認」が不要!通常、手書きの遺言書は、亡くなった後に家族が家庭裁判所へ持っていき、相続人全員の立ち会いのもとで開封する「検認(けんにん)」という非常に面倒な手続き(数ヶ月かかります)を踏まなければなりません。しかし、法務局に預けた遺言書はこの検認が完全に不要になります。亡くなった後、すぐにスムーズな相続手続きを始められるため、残された家族の負担を劇的に減らせます。
  4. 家族への「お知らせ機能(通知制度)」があるあなたが亡くなった後、法務局が事前に指定された家族(1名)に対して「遺言書をお預かりしていますよ」と自動でお知らせしてくれる仕組み(死亡時通知)を利用できます。これにより、「せっかく書いたのに誰にも気づかれないまま終わる」という悲劇を防げます。

利用にかかる費用(手数料)

この制度の最大の魅力の一つが、「圧倒的な費用の安さ」です。公正証書遺言の場合、財産の額に応じて数万円〜十数万円の手数料がかかりますが、法務局保管制度の手数料は一律で以下の通り非常にリーズナブルです。

手続き内容費用(一律)備考
遺言書の保管申請3,900円預ける時の手数料(最初だけ)
遺言書の閲覧請求1,400円(モニター閲覧)
1,700円(原本閲覧)
生前に内容を確認・見直したい時
遺言書の撤回・変更無料預けるのをやめたり、保管をやめる時

※亡くなった後に、家族が遺言書の内容を確認する(証明書を発行する)際にも別途1,400円〜1,700円程度の手数料がかかります。

法務局保管制度を利用する5つのステップ

実際にこの制度を利用して遺言書を預ける際の手続きの流れを解説します。

1.ルールに沿って遺言書を作成する:ステップ1。

必ず「A4サイズ」の用紙を使い、上下左右に指定された数センチの余白を空けて手書きします(※財産目録だけはパソコン印刷や通帳コピーでもOKです)。用紙の規格が1ミリでもズレていると法務局で受け付けてもらえないため、細心の注意が必要です。

2.保管してもらう法務局を決める:ステップ2。

ご自身の「住所地」「本籍地」または「所有する不動産の所在地」を管轄する法務局(遺言書保管所)を選びます。徳島県内であれば、徳島地方法務局(本局)や各支局が窓口になります。

3.法務局への事前予約:ステップ3。

手続きは完全予約制です。法務局の手続き予約専用ウェブサイト、または電話から、訪問する日時をあらかじめ予約します。

4.本人が法務局へ行き、申請する:ステップ4。

必ず「遺言者本人」が法務局の窓口へ行く必要があります(代理人は不可)。

【当日の持ち物】作成した遺言書(ホチキス留めはしない)、申請書、本籍地記載の住民票(作成後3ヶ月以内)、顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)、手数料分の収入印紙。

5.保管証の受け取り:ステップ5。

職員による形式チェックが終わり、問題がなければ「保管証」が交付されます。これには遺言書の管理番号などが記載されていますので、大切に保管(または信頼できる家族に共有)してください。

福祉と法律のプロとして、大切なアドバイス

「費用も安いし、法務局がチェックしてくれるなら自分で完璧にできる!」と思われるかもしれません。しかし、ここで一つ大きな注意点があります。

法務局の職員がチェックしてくれるのは、あくまで「日付はあるか」「印鑑は押されているか」「余白のサイズは正しいか」という『見た目の形式』だけです。

  • 「書かれている財産の分け方が、将来きょうだい間で泥沼の揉め事(遺留分トラブル)にならないか」
  • 「不動産の地番の書き方が間違っていて、亡くなった後に名義変更ができない」といった、『内容のトラブルリスクや法的な有効性』まではチェックしてくれません。

せっかく法務局に預けても、内容が原因で亡くなった後に家族が揉めてしまっては本末転倒です。

当事務所では、あなたのご希望を丁寧に伺い、「将来絶対に家族が揉めない、そして名義変更の手続きが一発で通る確実な内容」の遺言文案を一緒に作成します。もちろん、法務局の厳しいルールに合わせた用紙の作成や余白の調整、面倒な添付書類の収集も丸ごとサポートいたします。

私は25年間、介護や福祉の現場でシニア世代のみなさまの生活に寄り添ってきた人間です。「手続きの完了」だけを目的とせず、「遺言書を書いた後、もし認知症が進んだらどう生きていくか」というあなたのこれからの安心(QOL:生活の質)もセットで温かくサポートします。

「敷居の高い先生」ではなく、「何でも話せる徳島のおばちゃん」として親身にお手伝いしますので、まずはお気軽に無料相談からお試しくださいね。

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